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形勢判断のススメ/やきもちをなくす 

相手の地が大きく見えるのはなぜ?


 「隣の芝生は青い」といいますが、碁では不思議と相手の地が大きく見えてしまうものです。これを「やきもち」といい、アマの碁の大きな特徴(?)となっています。

 初心のうちは、まだ何がどうなっているかわかりませんから、敵陣がやけに大きく見えて負けそうだと感じることもあまりないでしょう。また、中級から上級のレベルになると、「囲碁の目的は石を取ることだ」と勘違いしている好戦的な棋風の人もいます。陣取りの碁に興味のない人も、やきもちは関係のないことかもしれません。

 でも、初段が近づくにつれ、地が気になってきます。ときには、自分のほうはさんざん地を稼いでおいて、「相手のわずかばかりの地も許せん」とばかり、威勢よく打ち込んでいく方を見かけます。優勢だった碁がたちまち乱戦にもつれ込み、泥試合となって最後は指運のいいほうが勝つ。これが初段前の碁です。

 見ているほうは大石の死活で勝負が決まるほうが面白いのですが、そういう打ち方を卒業しないと、碁はなかなか強くなれません。かくいう私も初段の頃はそうでした。

 三段以上になると、あからさまなやきもちは少なくなるのですが、それでも形勢判断について楽観的な人よりは、悲観的な人のほうが圧倒的に多いように感じます。まあ、何もしないで負けるよりは、大暴れして勝碁を失うほうがまだましですが…。

 やきもちの原因は、しっかりした形勢判断(目算)の方法が身についていないこと。そして、形勢判断を元に着手を決めるという考え方がないことに起因します。

形勢判断力は棋力に比例する


 形勢判断が難しい理由はいくつかありますが、一番はヨセの形がしっかり描けないことではないでしょうか。

 ヨセには両先手、片先手、両後手がありますが、それを理解したうえで、正しいヨセの手段を知らなくてはなりません。なにしろ、アマの場合、ヨセの巧拙で20目くらいは違ってきますから、目算をしたとしても10目くらい狂うのは不思議ではありません。
 
 次に、形が決まっていないところを何目に見るかも難しいところです。たとえば、単独の三々が4目の地、小目が6目というのは見当がつきますが、星はどう考えたらいいのでしょうか?

 ある下手打ちのうまい高段者が、隅の黒石(星)を見て、「そこは白地だ」つぶやいたとか…。もちろん、半分は冗談ですが、「黒さんに、三々打ち込みを防いでいる暇を与えませんよ」と、さりげなく主張しているわけです。

 どちらからも打つ可能性のある大きなところは、白が打った場合と黒が打った場合の想定図をそれぞれ計算し、それを折半にする考え方があります。しかし、その想定図作りは、アマにとって高段者でも難しいものです。

 また、敵の石を攻めるか待つか、自分の弱石を守るか捨てるか、など作戦の岐路に立たされたときは、一段落するまで先を読んだ上で目算をしなければなりません。形勢判断といっても、読みの力まで関係するのです。

 プロはよく、「一局のうち最低3回は形勢判断をしなさい」などとアドバイスしますが、形勢判断がどれだけ正確にできるかは、まさに棋力のバロメーターといえるものです。かの小林光一九段も著書の中で、「形勢判断とは碁の実力」といって書いています。

 やきもちはアマの“特権”。この悪癖はすぐには直らないでしょう。強くなるにしたがって形勢判断の力がつき、やきもちを焼く回数は減っていくはずです。相手の石を取って勝つのはだれでも気持ちのいいものですが、石を取らせて勝つ喜びが味わえるようになれば、その人は高段の域に達しているといえるでしょう。

ものぐさ形勢判断法


 プロは地を数えなくても、石の形や働きを見て、瞬時に形勢を判断する能力を身につけているようです。もちろん、正確な目算で確認する作業が基本ですが…。では、大雑把な目算さえも苦手なアマはどうしたらよいのでしょうか?

 原始的な方法ですが、ざっと全体を見回して、目分量で判断するという方法があります。ものぐさな方法ですが、慣れてくると意外に正確なものです。

 目分量にもコツがあります。同じくらいの面積の黒地と白地を見つけて相殺し、最後に残った大きさの違う地を比べるという方法です。時には、2つの地を合わせて相手の地と比べるというようなこともします。たとえば、「左辺の黒地は、左上と左下の白地を合わせたものと同じくらい」というような調子です。

 模様はどう考えたらよいのでしょうか。その場合は上の方法で、双方の確定地を相殺してゆき、残った地と模様を比べるのです。たとえば、白の模様に対して、残った黒地が20目くらいだったとすると、白模様を20目以下に値切れば優勢、と考えることができます。

 形勢判断をしない場合、白模様が実際よりも大きく見えて深入りし、打ち込んだ石を取られたり、逃げ回っているうちに他の石が危なくなったり、ほぼ確定地だったところを侵略されたりする危険性が大きくなります。多少、不正確ではあっても、形勢判断をするとしないでは大違いです。

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