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ヘボ碁同士の姑息なかけひきと“待った” 

危機を乗り切る「心理学」と、待ったをさせない「打ち回し」


 盤外の姑息な作戦についてのお話です。他のページでも述べていますが、私は級位者時代が長かった上に、四、五段になってからも職場の初段以下の人たちの碁を日常的に見てきました。その中に、碁の技術や読みとは異なる次元で勝負勘(?)を発揮する人が何人かいました。

麻雀で鍛えた心理学

 まずは、囲碁より麻雀が得意なS2級です。

 早打ちの彼は、打った直後に自分の石が危ないことに気がつくことがよくありました。しかし、そこは麻雀で鍛えたポーカーフェイス。悠然と構え、相手が碁盤の別の場所に目を落とした瞬間、さりげなくその部分を凝視します。敵が気配を察知して、見当外れの場所に注意を向けてくれれば作戦は成功です。

 同じ棋力かそれ以下の対戦相手では、この作戦がかなり通用します。敵がチャンスに気づかず他を打てば、おもむろに危ない石を守るわけですが、さすがのポーカーフェイスも喜びを隠しきれなく、どことなく表情が緩んできます。

 まあ、待ったをしないだけ立派というべきかもしれませんが、姑息といえば姑息です。しかし彼の“芸”はさらに進化します。もしも相手が、しばらくは気づかないだろうと見るや、S2級は危ない箇所を平然と手抜きをしたまま数手打ち進めるのです。

 置碁なら、初・二段以下の上手がたまにこうした手を使うのを見かけますが、互先でやるのは勇気が要りますね。これは一種の賭けであり、麻雀に近い碁といえるでしょう。もちろん、たとえ下手相手でもこんなことをしていたら強くなれません。

待ったをさせない“打ち回し”

 昼休みに職場で打つ級位者同士の碁では、待ったをするのはそう珍しい風景ではありません。単純なアタリを見落として待ったをするくらいはご愛嬌ですが、時には待ったをしたほうが有利になってしまうこともあります。それでも、親しい仲間同士では待ったは当然の権利(?)として扱われます(待ったをすると強くならない、というのは囲碁・将棋では常識ですが…)。

 今度はT1級氏のお話です。彼自身は待ったをしないのですが、相手の待ったは許してしまう優しさがあります。そこで編み出した戦術が、手抜きができない別の場所をしばらく打ち続けることです。いわばコウ争いがないのにコウ立てをするようなもので、有段者なら悪手と言われるところです。

 しばらく別の場所を打ち続けたあと、彼はあたかもたった今、気がついたかのような顔をして、絶好のチャンスをものにします。相手は内心待ったしたいのですが、さすがに何手も手を戻すのは気が引けます。それに初段前の棋力では元の局面に戻せるかどうか…。それもT1級の計算に入っています。

 彼を「優しい」と書きましたが、根はけっこう意地悪だったようです。

姑息な盤外作戦の末路

 以上の2例は、有段者から見ればかなり低次元の盤外作戦と笑われるかもしれませんが、級位者が碁を楽しむ特権なのです。

 被害者ともいえる相手の立場からすれば、それで負けたときは悔しさも数倍というところでしょうが、相手のずるさよりは自分の未熟さを責めるべきでしょう。悔しさは相手に向けるのではなく、自分が成長するためのチャンスと捉えたらどうでしょうか。盤外作戦などに惑わされず、技術を磨く方向に行けば、だまされたことなどは楽しい思い出に変わります。

 逆に、姑息な盤外作戦が通用してしまったくだんの1級氏、2級氏にとっては、上達を阻む要因になりかねません。碁が勝負である以上、技術や読み以外の手段で何とか勝とうするのは、反則でもない限り非難はできませんが、上達のプラスにならないことだけは確かです。

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