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3級から三段までは4〜5子置く“師匠”が効果的

初めて出会った有段者(四段)の師匠

 上達する上で良きライバルは必要不可欠です。それとともに重要なのが、目標となる“師匠”の存在です。私の最初の“師匠”である父は5級であり、父以外に碁を打つ相手がいなかったので、追い越すのに数年かかりました。その後は、師匠なしの状態が続いたため、5年間も3級で足踏みしていました。

 碁の師匠といえる人にめぐり合ったのはその頃です。勤めていた会社の社長でした。自称三段ということでしたが、碁を知らない社員たちは、社長の強さをあまり信用していません。ところが実際は逆でした。初めての対局は手合いが5子です。身近にこんなに碁の強い人がいるのかと、驚いたことを覚えています。結果は…まるで歯が立たず、たちまち6子に打ち込まれてしまいました。

 今思えば、社長はそのときすでに四段でも強いほうだったはずです。謙遜の美学をお持ちの方で、しかもそれとは裏腹の負けず嫌いが奥に潜んでいます。弱めに申告しておけば、気持ちよく勝てるというわけです。

 実力四段の社長との手合いをようやく5子に戻すと、たちまち4子まで進みました。社長の碁は辺と中央を重視する力戦型で、当時の私は堅実な実利主義です。こういう組み合わせでは間違いなく上手にいいように打ち回され、手合い以上の差が生じます。4子の壁を打ち破るには、碁の考え方を戦い中心に変えるしかありませんでした。一時的には「力がついたのに勝負には負ける」という現象が続き、手合いを5子に戻されたりもしましたが、ひとたび4子で勝ち越すようになると、たちまち3子でもいい勝負をするようになりました。

 
 その頃になると、謙遜家の社長も五段を名乗っていましたから、私は二段でも強いほうだったかもしれません。しかし、3子で勝ち越すようになると、なかなか気軽には碁を打ってくれなくなりました。

 一般に、置石が減って2子でボチボチ負け始めると、上手は対局を避けるようになります。追いつかれるのがつらいのですね。くだんの社長と2子で打った記憶はあまりありません。一度、酒を酌み交わしながらの2子局で、みごとに負かされたことがあります。アルコールが入ると強くなる人だったのです。

三段の頃に4子で歯が立たなかった「第三の師匠」

 再び師匠不在の状態になった三段の頃に、第3の師匠が現れました。取引先の営業の方ですが、最初の手合いで4子置けという。それでもまるで歯が立たず、身近に途方もなく強い人がいることに感動しました。碁会所に行ったら八段格になってしまう人です。

 アマ強豪クラス、あるいはそれに近い人たちの中には、下手に対して石をたくさん置かせたがる人と、プロの指導碁のように上手にとってゆとりある置石で打つ方がいます。第3の師匠は後者のタイプだったようで、置碁でもハメ手や強引な手などは打たず、常に本手を打つように心がけていたようです。

 
 彼のすごいところは、1局終わるごとに必ず並べ直して、勝負の山場を越えるところまで手直しをしてくれたことです。おかげで自分の弱点が次々とさらけ出され、何を勉強したらよいかがわかってきました。負けたときの局碁の検討は、最良の上達法です。ただし、相手が自分よりも強い人であることが条件ですが。

 ヘボ碁時代が長く、碁の才能がほとんど感じられない私が、そう若くもない年齢になってから四段、五段、六段とコンスタントに昇段できたのは、すべて第3の師匠のおかげといえます。

 若い頃の級位者時代が長く、晩成型だった私は、六段になってだいぶ経つ今でも、初心者から初段前後の方の心理状態や思考法が手に取るようによくわかります。そのため、四子以上置かせる碁は得意です。いわゆる「下手ごなしがうまいタイプ」というわけですが、逆にいえば「教え方がうまい」ともいえると、密かにうぬぼれています。

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