囲碁書籍・本の選び方 |
中級から高段まで、
飛躍のきっかけをつかむ本を!
碁は実戦が第一といっても、中級レベルになったら、本で勉強することが必要になります。囲碁の本を一冊も読まず初段になったという人もいないわけではありませんが、我流で固まってしまっては「万年3級」で終わることを覚悟しなければなりません。初段になりたいのなら、自分に合った、大いなる飛躍のきっかけとなる指導書を見つけましょう。興味を持った分野から入る
大きな書店の囲碁コーナーに行くと、布石、定石、手筋、中盤の戦い、詰碁…などといろいろあり、迷うことでしょう。結論から言えば、初めて選ぶ本はどのジャンルでもよいのです。そのとき最も自分が興味を持ったテーマ、あるいは必要性を感じた分野の棋書から入ってください。ただし、2冊目からはバランスを取って別の分野から、弱点克服を念頭に選びます。背伸びをせず、棋力に合ったものを
実際に棋書を選ぶ際は、あまり背伸びしないことも大切です。難しい本は消化不良を起こし、わかったつもりで何も身につかないということになりかねません。特に詰碁や手筋の問題集は、「ちょっとやさしいかな」と思うくらいでちょうどよいでしょう。読みの力を鍛える問題集では、知らないことを覚えること(知識)よりも、さまざまな変化手順をくまなく読むことが勉強になるのです。ビッグネームにこだわらない
囲碁の場合、出版物は「著者」が直接書くことはほとんどなく、囲碁ライター(アマ高段者レベル)がレクチャーを受けながら書くか、あるいは書き上げたあとで「著者」のチェックを受けるというのが常識です。むしろその方がいい本ができるからそうしているのでしょうが、そうなるとビッグネームにこだわる理由はなくなります。内容構成や解説のわかりやすさを重視して選んでください。
特に級位者向けの本の場合は、タイトル戦で活躍している棋士よりも、自分自身の教室を持ち、アマ指導に情熱を持っている棋士の本がおすすめです。
管理人の役に立った棋書は… |
私(管理人)自身の棋力向上に貢献した本について述べます。
級位者時代の2冊について
初段になるまで私はほとんど棋書なるものを読まず、役に立った本が1冊と、あまり成果の上がらなかった本が1冊あるだけです。役に立たなかったのは定石を一通り解説した本です。当時は一生懸命定石を覚えたものですが、意味がわかっていないので当然、使い方もわからず、覚えてもすぐに忘れてしまいます。上達に貢献したとはいえません。
2、3級時代に役立ったのは、置碁の解説を中心とした本です。6子局、4子局、3子局の打ち方は、即実戦で試せました。失敗したらまたその部分を読み直すというやり方で成果を上げましたが、あとになって考えれば本当の効果はそれ以外にありました。それは布石が少しずつわかってきたことです。
置き石の数の違いによる布石のポイント6、7子局では、白の立場からすれば、上下の辺の大場を打ち終えたあとは「黒模様への打ち込み」という感じになります。布石時代が少なく、すぐに中盤に突入するのが6、7子局の特徴。黒からは、早い段階での白石への的確な攻めが肝要です。4、5子局では隅の4個の黒石をどう関連付けて生かすかが布石のポイントになります。互先に比べれば局面がかなり狭いので、布石の要点である大場・急場が考え方やすい。これが下手にとってのメリットです。 3子局では、最初に白が空き隅に先着しますから、碁盤の4分の1は上手と「互先」を打つことになります。布石が急に複雑になり、4子に比べてかなりレベルアップします。 6、7局から3子局までの置碁は、「布石」と「攻め」の感覚を段階的に身につけるのに役立つでしょう。 |
有段者になってからの愛読書
私が碁をしっかり本で勉強する気になったのは、ようやく初段になり、「碁は戦いだ」ということに気付いてからです。最初にやさしい詰碁と手筋の本から始めましたが、三段になってからは「玄玄碁経」です。玄玄碁経は中国の古典で、死活のあらゆる手筋が盛り込まれている宝箱のような棋書です。基本死活が発展したような実戦型の問題が多く、親しみやすいのですが、それでも最初は歯が立ちませんでした。
詰碁は即効果があるというものではありませんが、数ヵ月後には確実に直観力がつき、ヨミの速度と精度が上がってきます。詰碁はスポーツにたとえれば体力強化です。
詰碁以外では、故・瀬越憲作の名著「作戦事典」(絶版)が効果を発揮しました。その中で特に勉強になったのは、碁盤半分を使った定石の選択問題です。定石は使い方を間違えると、ひどい目に遭う。「定石を覚えて二目弱くなり」はそのことを言っているわけですが、この本では失敗図、正解図、変化図などが整理されていてわかりやすく、基本定石の意味がだんだんわかってきたような気がしました。碁盤半分の問題は考える範囲が狭いので、低段者でも考えやすく、効果的です。
四、五段の頃は中国流の布石に魅せられて、初めて本格的な布石の勉強をしました。ファンだった故・加藤正夫九段愛用の布石だったこともありますが、模様や厚みの生かし方をもっと知りたいという思いがきっかけです。
死活に強くなると、厚みの威力がわかってきて、すると布石の考え方にも幅が出てくる……というように、他への波及効果のあるテーマに沿った本が見つかれば理想的です。
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