役立つ囲碁格言(形と筋の基本)
囲碁の格言やことわざをどれだけ知っているかは、棋力とある程度関係しています。格言は端的な言葉で碁の基本となる形や筋、考え方の本質をピタリと言い表しているという意味で、うまく利用すれば囲碁学習に役立つことは疑いようもありません。
さて、あなたは次の囲碁格言のうち、いくつ聞いたことがありますか? そして、その中のいくつの意味がわかっていますか?
・ツケたらハネよ、ハネたらノビよ ・空き三角は愚形の見本
・ボウシにケイマ ・車の後押しヘボ碁の見本
・追うはケイマ、逃げるは一間 ・二目にして捨てよ
・二目の頭、見ずハネよ ・死はハネにあり
※それぞれの簡単な説明は下段「級位者向け、形や筋に関する格言」をご覧ください。
山ほどある囲碁の格言を分類すると… |
@想定される対象棋力
・初級〜上級向けの格言 ・初段前後〜三段向けの格言
A格言は信頼できるか?
・絶対とは言えないが、着手の目安となる格言
・例外の多い格言(あまりとらわれる必要はない)
B教えの内容で格言を分けると
・部分の形や筋 ・死活や攻め・シノギの手筋
・布石や中盤の碁の考え方 ・碁の心がまえ
ここでは対象を級位者に絞って、着手の目安としてよい格言の中から、「部分の形や筋」や「死活や攻め・シノギなどの手筋」に関するもの紹介しましょう。冒頭に掲げた囲碁格言の簡単な説明です。
級位者向け、形や筋に関する格言 |
初心者の碁では、序盤で石が接触してもそこを手抜きする人を見かけますが、それを戒めた格言です。ツケられたらハネる。ハネられたらノビる。これでたいていの場合、大きな間違いはありません。
※関連ページ⇒ 初級囲碁講座>ツケノビ定石で覚える筋と形
ボウシにケイマ
辺の石へのボウシには、囲いたい方向にケイマするのが形です。他にツケやツキアタリもあります。ただし、相手の石を攻めたいのか、固めてもよいのか、相手に態度を決めさせるのか、など級位者には判断の難しい問題があります。ボウシが無難でしょう。
追うはケイマ、逃げるは一間
相手の弱い石を追う場合はケイマにあおるのがよく、逃げるには足の速い一間トビがよい、ということです。逆に一間トビで追うのはぬるく、桂馬で逃げるのは切断されるリスクがあります。一応の目安ですが、全局的判断が必要です。
二目の頭、見ずハネよ
二目の頭をハネると、ダメヅマリになり、形が崩れます。二目の頭をはねられた側がハネ返すと、さらに二段バネを打たれたり、場合によっては石を切断されたりします。ただし、「見ずハネよ」はさすがに言い過ぎで、その先をちょっとだけ考えたいですね。
空き三角は愚形の見本
愚形というのは、働きに乏しい石の形をいいます。空き三角は、すでにコスミでつながっている石をさらに固くつないだ形になり、結果的に一回休みしたのと同じことになります。しかし、時にはその愚形が好手になることもあり、碁は深いのです。
車の後押しヘボ碁の見本
中央に向かって石が競り合っている際、相手が一歩先にノビているところを押していくことを「車の後押し」といいます。たいていの場合は悪手になりますが、悪いと思っていないところが、「ヘボ碁」というきつい表現になるゆえんです。
二目にして捨てよ
一目で抜かれるよりも、二目にして取られる方がダメの数が多いため、締め付けが利いたり、将来コウ材に使えたりするなどの利点があります。
死はハネにあり
相手の石を殺す場合には、生きるスペースを狭めてから、眼の急所に置くのが基本。まず、一線にハネる手が正解になることが多いものです。それでダメな場合は、ハネる前に急所に利かすなどの手を検討します。
※関連ページ⇒ 初歩の死活(六死八活、隅の二線)
ご都合主義の格言は囲碁にもある? |
一般に昔から伝わる格言・ことわざには、なるほどと思わせる力がありますが、けっこうご都合主義のものも見つかります。例えば、
「二度あることは三度ある」 と 「三度目の正直」
「腹が減ってはいくさができぬ」 と 「武士は食わねど高楊枝」
などです。
「理詰めのゲーム」のように思われている囲碁には、そんな格言はないと思う方もいらっしゃるでしょう。でも、それがあるのです。例えば、次のような格言です。
・四隅取られて碁を打つな‥‥四隅を取られてはさすがに勝てない?
・四隅取って碁を打つな‥‥隅の地ばかり気にしていては勝てない?
(上の格言は隅の重要性を説いたもの。下は中央の厚みや勢力の重要性を強調)
・眼あり眼なしは唐(から)の攻め合い‥‥内ダメが最後に残ると「眼なし」の側が負ける。
・眼あり眼なしも時によりけり‥‥「眼あり」の側の手数が少ない場合もある
(攻め合いにおける「眼あり眼なし」を格言で教えること自体に無理があります)
役に立つ格言だけでなく、役に立たない格言もあるということの実例でした。
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