2 囲碁用語1―初めての19路盤互先
第一手目は右上隅から |
碁は、どこから打ち始めてもよいのですが、理論的にも経験的に隅から打っていくのが得だと考えられています。理由は単純です。隅は2方向を囲うだけで地ができますが、辺は3方向、中央は四方向を囲わなくてはならないからです。
とはいえ、碁はそう単純なものではなく、ごく一部のプロ棋士が実験的に真ん中から打ち始めた棋譜がいくつかあります。しかし、かなり特殊な作戦で、相当にパワーのある棋士でないと打ちこなせません。そんなわけで、アマプロを問わず99%以上は隅から打ち始めます。
黒の1手目は(先手から見て)右上隅に打つのが慣例となっています。礼儀とまで言えるかどうかはわかりませんが、碁は四方どこから見ても石の相対的な位置関係は同じです。わざわざ他の隅から打ち始める理由は見当たりません。棋譜を作成する上でも、常に右上から始まるほうが見やすく、美しいものです。
碁盤のエリアの名称
碁盤の大まかなエリアを表わす用語として、右上隅、右下隅、左上隅、左下隅、上辺、下辺、右辺、左辺、中央の9つがあります。
着点の名称
碁は互いに4隅から打ち始め、次に辺に展開し、だんだん中央への戦いへと発展していくのが普通です。隅に先着する場合、特殊な作戦を除けば、打つ場所は次に説明するように星、小目、高目、目ハズシ、三々の5カ所に限られます。
【1図】
星(右上・黒)
縦横の交差する線上に9つ印がついてある地点を「星」と呼びます。星はアマプロを問わず最も多く打たれます。
小目(左上・白)
星の位置から1つ隅にズレた位置が小目(コモク)です。星と並んでよく打たれます。
高目(右下・黒)
星の位置から1つ辺の方向にずれた位置が高目(タカモク)です。辺から中央への発展を重視した打ち方です。
目ハズシ(左下・白)
星の位置から斜め下にずれた位置が目(モク)ハズシです。高目同様に中央志向ですが、難解な大型定石に発展しやすいのが特徴です。
【2図】
三々(右上・黒)
最も堅い打ち方ですが、中央への発展性に乏しいのが欠点です。
5の五(左下・白)
特に名前がないので、盤面の番地を示す記号がそのまま名称になっています。他の隅や辺、中央との関連性で打つ特殊な打ち方です。なお、左下の「5の五」は棋譜で表す場合は「5の十五」となります。
碁盤のど真ん中、星の位置が天元(てんげん)です。第1手目に天元に打った一流プロがいますが、あまり真似をするプロはいません。
カカリの種類
隅に打たれた相手の石に対して、その発展を阻止するために打つ手を「カカリ」と言います。カカリには次の4種類があります。
【3図】
小ゲイマガカリ(右上隅・白)
黒石に対して、図のように将棋の桂馬に飛ぶ位置にカカるのが「小ゲイマガカリ」で、星へのカカリは大半が小ゲイマです。
一間高ガカリ(右下隅・白)
黒石に対して1路空けてカカるのを「一間高ガカリ」、または単に「一間ガカリ」と呼びます。小ゲイマガカリと比べると、隅への響きが弱く、中央への進出が早いという性質があります。
大ゲイマガカリ(左上隅・白)
桂馬よりもさらに一つ遠ざかってかかるのが、大ゲイマガカリです。黒にとって隅への脅威は少なく、辺を意識した「場合の手」といえるでしょう。
二間高ガカリ(左下隅・白)
黒石に対して二間の位置に高くかかるのを「二間高ガカリ」といいます。隅への圧力はもっとも少なく、辺や中央などへの発展を重視した打ち方です。
ハサミの種類
星への小ゲイマガカリに対して、ハサむ打ち方の名称を示します。なお、カカリに対してはカカられた反対側に受ける(開く)打ち方も多く、カカった石に直接ツケる打ち方もあります。
【4図】
一間バサミ(右上・黒2) よく打たれるハサミで、厳しい打ち方です。
二間バサミ(右下・黒4)
一間高バサミ(左下・黒6) これも厳しい打ち方です。
二間高バサミ(左上・黒8) 比較的よく打たれるハサミです。
三間バサミと三間高バサミ
図には示していませんが、三間バサミは二間バサミの一つ先(星下)の地点、また三間高バサミは二間高バサミの一つ先(星)の地点にハサむ打ち方です。反対側の隅に味方の黒石がある場合にはバランスがよく、一間バサミと共によく打たれるハサミです。
シマリの種類
シマリとは先着した隅の石に対して、相手がカカってくる前に戸締りをする手のことをいいます。ここでは小目からシマる例を図で示します。
【5図】
小ゲイマジマリ(右上) ここだけで地が確定しており、最もよく打たれるシマリです。
大ゲイマジマリ(右下) 小ゲイマより少し欲張った分、少し弱点が残っています。
一間ジマリ(左下) 小ゲイマより地に甘いが、辺や中央に少し発展性があります。小ゲイマとの優劣は、その後の打ち方次第です。
左上・星との比較 星から大ゲイマにシマった例です。白からの三々打ち込みが残っていますから、地にするためにはもう一手かける必要があります。しかし、小目からの大ゲイマシマリ(右下)はほぼ地になっています。星と小目との違いです。
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