3 囲碁用語2―定石・布石・置碁から
定石と名称 |
定石は、星、小目、高目、目ハズシ、三々への各種カカリと、それに対する受け、ハサミ、ツケなどの手段別に分類されますが、その数は日本棋院の定石大事典に収録されているものだけでも約18,000型もあります。枝葉の細かい変化まで含めれば、その数は数万とも言われますから、全部覚えるのは不可能ですし、たくさん覚えてもあまり意味がありません。
定石の勉強では、実戦によく現れるものを一手一手、意味を理解しながら覚えることが大切です。また、定石は正しい形や手筋の宝庫です。手順を機械的に覚えることよりも、筋や形を肌で感じながら会得することのほうが、上達にははるかに効果的でしょう。
最もやさしく、よく打たれる星の定石
【6図】小ゲイマガカリにケイマ受け、ケイマにスベる(右上)
白1のカカリに黒2と受ければ、白3とスベるのがいちばんよく打たれる定石です。この後、黒4とコスむのが手堅く、白5の二間ビラキまでが定石です。双方が根拠を持ち、互角に分かれて満足します。この後、黒は先手を持ったので別の場所に回ります。
用語について解説すると、白3は二線に潜っている感じなので、ケイマではなく「スベリ」と言います。また、黒4は三々の位置ですが、すでに星に石があるため、星の位置から斜めの地点という意味で「コスミ」と呼びます。このように囲碁の用語は、起点となる石に対しての相対的な位置関係や方向などからのネーミングが多いのです。
ツケ、ハネ、ノビ(左下)
6図・左下は星の「ツケノビ定石」の最初の4手を示したものです。黒6のカカリに対しての白7が「ツケ」、白7に対する黒8が「ハネ」、そして白7の石の隣(中の方向)白9の手が「ノビ」です。この白7〜9を合わせて「ツケノビ」と言います。この形は隅だけでなく、辺や中央でも応用の利く形です。なお、黒8のハネに関しては「ツケにはハネよ」という格言があることを付け加えておきます。
布石と名称 |
その中で布石の型に名前がついている「二連性」「三連星」「中国流」をご紹介しておきましょう。アマプロを問わずよく打たれる布石です。
「二連星」「三連星」「中国流」
【7図】黒1から白6まで布石が進んだ場面です。黒は右辺、白は左辺が勢力範囲です。自分の勢力範囲は将来、地になりやすく、また相手が入ってきたらその石を攻めて優位に立とうというわけです。ここから自分の勢力を広げて模様化するとともに、相手の勢力範囲を狭めようとして主導権争いが始まり、石がぶつかると激しい戦いにと入ります。
中国流と高中国流
黒1、3、5が「中国流」と呼ばれる布石です。星と小目(方向に注意)、辺の星の斜め下に黒石を配置して、次に下辺または上辺、さらに中央へと勢力を拡大しようとしています。なお、黒5の位置が一つ上(四線=黒5の左)になると、「高中国流」(口語では「高い中国流」)と言われます。普通の中国流よりもさらに中央への勢力を意識した布石です。
二連星と三連星
白2,4までが「二連星」という布石です。さらに辺の星に白5と打つと「三連星」になります。置碁ではあらかじめ星に置石があるので、なじみやすいでしょう。星は隅を地にするのにもう二手かかりますから、三々に入られることも多く、その辺の定石はいくつか研究しておく必要があります。
なお、白6では左辺の星に打たず、中国流の立体的な発展を阻止する意図で、右上や左下にカカる打ち方もあり、むしろそのほうが多いでしょう。
九子局のボウシ対策と用語 |
誰もが強くなる過程で、一度は九子局(星目)の碁に悩まされるものです。その中でも極めつけは上手のボウシ作戦でしょう。
【8図】
ボウシ
白1、3とカカった後の白5が「ボウシ」と呼ばれる手ですが、下手の立場では下辺の黒石が囲まれて危ないと感じがちです。でも実際は白の3子がバラバラで、攻められるべきは白の側なのです。
【9図】
肩ツキとオシ、ノビ
白に対する攻めの第一歩は、黒1の「肩ツキ」です。白は次に黒2と封鎖されてはたまらないので、白2、4と中央に出ていきますが、黒も3、5と出て、白3子はバラバラになってしまいました。
用語の説明を加えますと、白2と4を「オシ」、黒3と5を「ノビ」といいます。同じ一歩ずつ進む手でも、後ろから行くのか一歩前を進むのかで、名前が異なるのです 。
NEXT=「4 初歩の死活(六死八活、隅の二線)」 ページトップ 囲碁HOME